昨年の年末に、賑わう雑踏に一人ぽつりと立っている人がいました。
その人はこの界隈ではちょっとした有名人で、私も知っている人でした。
周りは忘年会シーズンとあっておしゃれな服に身を包んだ人が多い中、その人はバランスを欠いた服のセンスでそれはところどころ擦り切れていましたが、なぜかその中で一番かっこよく見えました。
その人はホームレスで、テレビの取材を受けたことがあった人です。
いわゆる現代版ロストジェネレーションの年代で、若くして住まいを失い路上を彷徨いながらも、路上で雑誌を売るなどして今の自分にできる仕事を探して前向きに生きている人として有名なのです。
その人はかつて消費者金融で多額のお金を借りていたそうです。
そのお金は全てギャンブルや水商売の女性への貢ぎ物に使っていたそうです。
その頃のその人は正社員の仕事に就いていたものの、四畳半のアパートに一人住みながら質素な暮らしをしていたそうです。
しかし高級車を所有し、高価なブランドスーツに身を包んでギャンブルや女性との付き合いをしていたそうです。
その熱の入れ具合は、当時を振り返られたご自身のお話では病的だったと仰っていました。
その後その人は借りたお金は何とか工面して返済したものの、全てを失い路上生活に至ったそうです。
それで一時期は故郷の荒波に身を投げる決意をされたそうですが、引き止める人あって思い止まり、今日に至ったそうです。
「今は一人ではないから辛くはない」とテレビで仰っていた姿が印象的です。
その日、雑踏の中酔いが回ったサラリーマン風の同年代の人々に、肩を叩かれ応援されている姿はどこか神々しくかっこよかったです。